自動運転の前に遠隔運転を実現してほしい件

自動運転って実現したらとても便利になると思うけど、複雑なシステム作らないといけないしインフラ整備の面でも実現するまでに時間かかりそうですよね。ユーザとしてはいち早く自動運転の利便性を享受したいです。自動運転に拘らずに自動運転と同じ利便性を提供できる仕組みを作ってもらえれば、その後はエンドユーザの利便性を損なわずにひっそりと自動運転に置き換えることは難しいのですかね。

個人的には車が遠隔操作できるようになっていたらそんな世界を簡単に作れるのではないかと思ったので妄想の世界を書いてみます。

遠隔操作に必要な技術

法律的な制約は自動運転/遠隔運転に関わらずあると思うのでそこは無視して考えます。妄想なので。

私が妄想している遠隔運転とはプロのドライバー(以後、遠隔ドライバーと呼びます)が遠隔地に存在する自動車を運転するというものです。遠隔ドライバーはオフィスから遠隔地の自動車から送られてくるカメラ映像や各種センサ情報を目視し実際の自動車を操作します。自動運転のAIがやることを人間がやるイメージです。

遠隔地でラジコンを操作しているようなシステムだと思ってもらえればいいです。遠隔操作に必要になるのは、遠隔操作できる自動車と車両周囲のカメラ映像およびセンサ情報、それらを伝達するための通信手段といったところでしょうか。

カメラ映像をリアルタイムで送って、遠隔ドライバーの操作で各種アクチュエータを動かせられればよいのです。ちょうど同じようなシステムがすでに開発されて世の中にリリースされていました。「マリオカート ライブ ホームサーキット」です。もっと早く記事を書くべきでした。私の妄想の世界をすでに実現されてしまったということが悔しいです。

現実世界でやるためには、5G通信は必要になります。自動車は遠隔操作できればガソリン車だろうと電気自動車だろうとハイブリッド車でもなんでも構いません。最低限カメラはドライバー視点で前後左右は必須になります。カメラについては全天球でもいいですし4個つけてもいいです。運転できるだけの情報量があればなんでもいいと思います。

5G通信が必要になる理由は以下になります。
・カメラ映像をリアルタイムに送るための高速大容量&高信頼低遅延
・遠隔ドライバーの操作を遅延なく伝えるための高信頼低遅延
・複数の遠隔運転自動車を運用するための多数同時接続

ここまで読んでいただけると、まだ普及していない技術はあるものの新しい技術を開発する必要がないことがお分かりいただけると思います。自動運転は技術的にまだ確率できておらずこれから開発必須な領域があることに対して、遠隔運転はやろうと思えば技術的にはすでに実現可能なのです。

セキュリティの問題はあるかもしれません。遠隔運転で乗っ取りされたらどうするんだとか言われるかもしれないですが、個人的には大事なお金はネット銀行やネット証券で運用できるのにそれとどんな違いがあるのかと感じています。やらない理由を考えるのはとても簡単ですが、どうやったら実現できるかを考えたいです。あくまでも妄想の世界なんですけどね。

遠隔運転で実現可能なサービス

次に遠隔運転があると実現可能なサービスを考えてみます。

過疎地✕タクシー運転手

公共交通機関も少なくて高齢者の割合が多い過疎地域があるとします。公共交通機関が少ないため、住民は自動車が主な交通手段となっています。しかし、高齢になると運転に必要な認知・判断・操作が衰えます。そのため、頻繁に移動はできず我慢を強いられているのではないでしょうか。自身で運転できない場合はタクシーを利用すると思いますが、その地域にドライバーとなる働き手がいないとタクシーも営業していないかもしれません。(私の妄想の世界では限界集落のようなものを想定しているのだろうか。そんな地域がないかもしれないです。地域の困りごとや地域ごとの人口分布等もまったく調査せずに書いています。妄想なので。)

仮にこのような地域があったとして、遠隔運転のタクシーサービスがあったらどうでしょう。民間だけでの運営は難しいかもしれないので、行政サービスとして地域住民に提供されることを想定します。役所に遠隔運転自動車が待機していて、利用者の要請に応じて待機している遠隔運転自動車が出動します。遠隔ドライバーは別の地域にいるプロドライバーが担います。これなら働き手の少ない地域でも移動手段を提供できるのではないでしょうか。

また、都市部よりも郊外の過疎地域の方が自動運転用のインフラ(地図や道路)は整備しづらいことが予想されるため、遠隔運転タクシーは普及させやすく、絶対的な交通量が少ないこともあり事故も起きにくく実績を積みやすいと考えます。

個人的には都市部であっても、高齢者の運転する車よりもプロの遠隔ドライバーが運転する車の方が安全にも思えます。って、全部妄想だから何を書いても個人的な意見でしかないのですけどね。

運転代行1

飲酒等の理由で運転できない場合に利用する運転代行サービスについて考えます。利用シーンとしては、普段自動車通勤をしている人が仕事帰りに飲みに行って帰宅することが考えられます。

現在の運転代行サービスは、乗務員2名が随伴車で利用者の元に向かい、利用者は自分の車に同乗して乗務員が運転を行います。目的地まで利用者の車と随伴車で向かい、目的地到着後に乗務員は随伴車で次の利用者の元へ向かいます。乗務員2名+随伴車+前利用者目的地から次利用者元への移動時間が必要です。そのため、利用者は事前に予約を行い、出発地と目的地を伝え、運転代行事業者は綿密にその日の予定を組み時間を計算して計画を立てていると思います。

遠隔運転を用いた運転代行であれば、利用者は自分の車に乗りスマホアプリで目的地とともにGPSで自車位置を送信して代行運転を依頼します。運転代行事業者は待機している遠隔ドライバーをその場でアサインし遠隔運転自動車と接続します。ここで利用者へ運転代行を開始してもいいかを最終確認します。利用者の確認がとれたら遠隔ドライバーが目的地まで運行します。目的地に到着したら車庫入れまで実施して遠隔運転自動車との接続を切ります。現金のやりとりはありません。この例では予約をしていませんが、もちろん事前に予約しておくことも可能です。

運転代行事業者は乗務員1名で対応できますし、随伴車は不要です。次の利用者の元へ移動する必要はありません。次の利用者の遠隔運転自動車に接続するだけです。従来の運転代行は地域を限定しないと効率の悪い業態だったのですが、遠隔運転自動車がどこにいても接続するだけですから地域限定をする必要がありません。例えば、東京の利用者の対応後、大阪の利用者の対応をするというのも可能です。地域によって交通事情が異なる可能性はあります。冬季であれば寒冷地とそれ以外の地域で走り方が違うかもしれないので、ドライバー毎に地域的な得手不得手はあるかもしれません。

他にも客と同じ空間にいるわけではないのでニオイが気にならないというメリットや会話をする必要がないのもメリットではないでしょうか。車庫入れのときは若干会話しないとどこに停めていいかわからないかもしれないですが、アプリ上で何か解決する手段はあると思います。普段停めている位置を写真で撮って利用者登録するとか。

代行運転2

長距離を移動するときにも遠隔運転を使えるケースがあります。高速道路を運転中には安全のためにも疲れや眠気を感じる前に休憩をしないといけません。休憩・仮眠している時はSA/PAで車を停めることになるため、車を動かせず移動時間としてはロスしてしまいます。もちろんSAが好きで休憩する人もいると思います。ここでは本当は移動時間を短縮したいけど安全のためにしょうがなく休憩する人もいることを想定します。

最近は高速道路であればレーンキープや前方の車に追従するACCがあるので随分疲れにくくはなってはいますが、それでも自動運転とは違い車に任せることはできません。遠隔運転であれば、運転を代わってほしい時だけ一時的に代行運転をすることも可能になります。交代してほしいときに遠隔運転サービスを呼び出し、シームレスに代行運転をしてもらい、SAに寄らずとも休憩も仮眠もできる。ウトウトしながら走るよりもプロの遠隔運転ドライバーに任せる方が安全安心できますよね。

代行運転3

次は駐車場が確保できない場合や、駐車場と目的地が離れているときに使えるケースを考えます。バレーパーキングに近いかもしれません。バレーパーキングとは、ホテル等で係員に鍵を預けて入出庫代行をしてくれるサービスです。

遠隔運転自動車であれば施設を限定することなくユースケースを広げられます。例えば、子供の学校行事に行く時に私だったら利用します。授業参観や運動会などの行事の場合、学校には全家庭分の駐車場はありませんので徒歩で来るように言われます。天気が悪く雨が降っていたり、小さい子がいる家庭では我慢して歩いていたり、一方の親が車で送迎してから車を自宅に戻してから歩いて学校へいくということもあると思います。

このような場合に、遠隔運転自動車であれば一方の親が車で送迎するのではなく、車で学校に向かい車だけ遠隔運転サービスを利用して自宅に帰ってもらいます。行事が終わり帰路につくときに遠隔運転サービスで車を呼び出します。

このような使い方をすることで、わざわざ一旦帰って歩いて往復するといったこともなくなり時間の節約もできますし家族と過ごす時間を増やせます。

同じ使い方ですが、駅前駐車場を利用している場合にも駐車場代を浮かすこともできるかもしれません。最寄り駅まで車で向かい、車だけ自分で帰ってもらいます。帰りは駅に着く時間に合わせて車を呼び出し乗って帰る。

ここまでくるともはや自家用車である必要もない気がしてきました。必要なときに呼び出し、不要になったら帰す。駐車場に駐車する必要はなく、停車場に停めて利用を終了する。遠隔運転自動車は最寄りの駐車場に駐車して次の利用客を待機してもよし、次の利用客の元に向かってもよし。

自家用車で副業

自家用車でなくてもいいとは書きましたが、自家用車を持つことのメリットも書いてみます。

車を利用しない時間帯に置いておくだけではもったいないので、駐車しているだけから車を運用するということを考えます。まずは、車の所有者が車を利用しない時間を遠隔タクシー事業者へ登録しておきます。その時間に近くで遠隔タクシーの利用者がいたら、事業者は近くに駐車されていて、かつ、所有者が利用しない時間にマッチする遠隔運転自動車を探します。遠隔タクシーの利用者からすると、呼び出したら比較的早く配車されるというメリットがあります。

遠隔タクシー利用者は遠隔タクシー事業者へ利用料を支払いします。遠隔タクシー事業者は遠隔運転自動車の所有者に使用料を支払います。遠隔運転自動車は自家用車を運用することで資産収入を得ることができ、もしかすると駐車料金を節約することもできるかもしれません。

従来のタクシー事業者は、車両を保有しないといけませんでしたが、車両の保有と乗務員の確保を分離することで事業が持続しやすくなるのではないでしょうか。乗務員もオフィス勤務となることから、若い世代も従事しやすくなると考えます。

資産を持っている人は不動産投資をするイメージがありますが、遠隔運転自動車投資をするという未来もあってもいいかもしれませんね。

物流の効率化

長距離運転するトラックドライバーも一人で長距離運転をするのではなく、一台のトラックに対して複数人のチームを組み3交代で遠隔運転して夜間のSA渋滞を解消することもできるかもしれません。遠隔運転ドライバーは一台につき一人という制限もないので、疲れたら遠隔運転を交代してもいいわけです。物流もさらに効率上がってしまうかもしれません。

トラックであれば高速道路を走行中は複数台を一人で運転するといったことも可能だと思います。高速道路に入ったら先頭の一台を一人が運転し、後続のトラックは前方車両を追従するだけといった運用もできるはずです。複数トラックをチーム化して運行するイメージです。高速道路から降りるときは一台につき一人の遠隔ドライバーをつけるといった柔軟な対応で運用する必要があるでしょう。

まとめ

全部妄想の世界の話です。凡人の考えることなので、すでに実現に向けて動いている人がいるかもしれません。自動運転に拘るあまりに出遅れるよりも、サービスを普及させてデファクトスタンダードにしてから徐々に自動運転に置き換えていくといったアプローチの可能性もあってもいいかと思い本記事を書きました。

タクシードライバーもテレワークする時代、そんな未来があってもいいのではないでしょうか。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。